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不動産投資購入 -step6-

部屋探し・不動産のお役立ち情報『不動産投資購入 -step6-』

STEP6 契約前のチェックポイント

物件の調査を終了し、購入の意思決定から契約の前段階までの流れ、手続きにおけるチェックポイントについてご説明いたします。

意思決定から購入までの流れ

物件の調査を完了し、購入の意思決定から実際に取得するまでの流れは以下のようになります。

チェックポイント
購入申し込み売主に対し、書面にて購入の意思表示をする
重要事項の説明を受ける物件の権利関係や法令上の制限についての説明を受ける
売買契約締結手付金支払い、引渡しの時期、契約違反した場合の約束を書面で交わし、互いに記名押印する。
売買代金の支払い、引渡し売買代金の全額を支払い、物件の引渡しを受ける
運用の開始物件の管理、運営を開始する。

購入の意思表示から実際に運用を開始するまでの期間は、売主との協議によって異なります。全額自己資金で購入する場合は、契約と同時に売買代金の全額を支払い、物件の引渡しを受けたのち、すぐに運用を開始することが可能ですが、購入資金の一部に借入金を活用する場合などは、金融機関の融資の本審査から融資実行、物件の引渡しまで、通常1ヶ月程度要します。

購入申し込み

購入の意思表示は通常、書面にて行います。この書面のことを、「購入申込書」または「買付け証明書」とよびます。「購入申込書」には、購入したい物件の表示を記載し、購入希望金額のほか、契約希望日、引渡し希望日、その他、購入希望条件がある場合はこの書面に記載して売主に対して正式な購入の意思表示を行います。またその際に、売主の売却希望金額より少しでも安く購入したい場合などは、その購入希望額を記載して、価格交渉をします。これを不動産業界では「指値(さしね)」と呼びます。購入申込書はあくまで購入の意思表示を相手方に書面で通知したに過ぎず、特にこの書面によって売主、買主ともに拘束されることはありません。したがって申込書提出後、購入の意思表示を撤回しても、相手方から損害賠償を請求されるなどという問題は一切ありません。いわば「購入申込書」は購入の意思表示を伝え、売主との交渉のテーブルにつくという意味合いが強いのです。しかしながら、購入意思があいまいな状態で、購入申込書を提出することは、よくありませんので、法的な拘束力をもたないにしても、十分検討したうえで購入申し込みをすべきです。

重要事項説明を受ける

購入申込書を提出し、売主との売買条件の合意がなされると、いよいよ契約に向けての手続きに入ります。物件の売主が不動産業者の場合や、物件の仲介者が不動産業者の場合は宅地建物取引業法という不動産会社を規制する法律によって、売買契約締結前に買主に対し、取引する物件の「重要事項に関する説明」を書面をもって宅地建物取引主任者がしなければいけないことになっています。「重要事項の説明書」には以下の内容が記載されています。

重要事項説明書(重説)に記載される事項(主なもの)
説明をする不動産業者宅地建物取引主任者売主、または仲介する不動産業者の住所、商号、宅建免許番号、取引主任者の登録番号等が記載される
売主の表示、物件の所在売主の住所氏名、(売主の住所氏名と登記簿上の所有者の住所氏名が異なる場合はその理由)物件の所在。
登記簿に記載された事項不動産の登記簿(全部事項証明書)に記載された内容。土地の所在、地番、地目、地積。建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積など。 所有者の住所氏名。差押えや、抵当権が設定されている場合はその内容。
占有者の有無と占有権限その物件を占有(利用している)者の住所氏名、その権限。賃貸用不動産の場合は、賃借人(テナント)の住所氏名、賃料、契約期間など。
法令上の制限都市計画法、建築基準法の内容。計画道路や区画整理など都市計画の有無や、建ぺい率、容積率、高さ制限などによる、建物建築上の制限について
道路と敷地の関係道路が建築基準法の道路に該当するか、接道面の長さ、道路の幅員、セットバックする場合はその面積など。私道の場合はその制限など。
上下水道、ガス、電気の状況インフラの整備状況、上下水、ガス管などの埋設管の状況
売買代金および売買代金以外 に授受される金銭手付金の額、賃料や管理費、固定資産税、都市計画税、預かり保証金の清算などがある場合はその額
契約違反の場合の取り決め契約違反した場合の違約金の額など
その他その他、物件に関して買主に伝えておくべき事項。

基本的には概ね上記の内容について、契約前に宅建業者から説明を受ける事となります。宅地建物取引業法では消費者保護の観点から、必ず売買契約締結の前に買主に対し「重要事項の説明」をすることを義務づけております。不動産は高額な商品であり、権利関係や法規制が複雑多岐にわたっておりますので、物件の法規制、建物を新築する場合、建替えする場合の法規制や引き継がねばならない権利関係、その他、その物件がもっている特性など、きちんと納得するまで説明を受ける必要があります。重要事項の説明を受けて納得いかない部分があれば、契約を延期したり、取りやめにしても止むを得ないでしょう。したがってこの重要事項の説明は契約締結と同日ではなく、事前に説明を受け、納得した上で契約日を設定することが望ましいと言えます。

売買契約の締結

重要事項の説明を受け、納得したのちに売買契約の締結となります。売買契約はその物件の売買に関する約束事を記載した書面に売主、買主が記名押印して成立します。不動産の売買契約書には以下の内容を記さなければなりません。

契約書に記載すべき事項(主なもの)
当事者の氏名売主買主の住所氏名
物件の表示物件を特定するための表示、土地の場合は所在、地番、地目地積。建物の場合は所在、家屋番号、構造、床面積。
売買代金の額、支払い時期と方法売買代金の総額と、支払い時期、支払い方法に関する定め
引渡しの時期物件の引渡しを受ける時期の定め
移転登記申請の時期売買により所有権移転登記申請を行う場合の時期の定め
契約の解除の定め契約解除の定めがある場合は、その内容
違約金や損害賠償の定め契約違反した場合の違約金の定めがある場合はその内容
危険負担天災等、不可抗力による損害が生じた場合の定め
瑕疵担保責任物件に瑕疵があった場合の定め

一旦契約を締結すると、すべての約束ごとは契約書に沿って行われます。また、契約書に記載した事項が守られない場合、契約違反となり、違約金や損害賠償を払わなければいけない場合もあります。したがって契約内容は十分に吟味し、不安な要素がある場合は契約書の条文を追加、修正して契約に関する自身のリスクを回避する必要が出てきます。

 

不動産は非常に高額な投資であり、権利関係や法規制も複雑多岐にわたっております。また、一旦契約書に調印したら簡単に取り消しや解除はできません。したがってプロのアドバイスは当然のことですが、自分自身も不動産に関する基礎知識を習得することが、失敗しない不動産投資の基本となります。次回はケースに基づいた契約内容の解説をしたいと思います。

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