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不動産投資リスクと対応 -Step3-

部屋探し・不動産のお役立ち情報『不動産投資リスクと対応 -Step3-』

STEP3 収入に関するリスクの軽減方法

収入面に関するリスクには主に、空室リスク、賃料下落リスク、滞納リスク、中途解約リスクの4つがあげられますが、このようなリスクを軽減し、安定経営する為の方法についてご説明いたします。

空室リスク、滞納リスクをプロにとってもらう(家賃保証・滞納保証)

空室などの発生により、当初予定していた賃料が得られなかった場合、投資計画に狂いが生じます。特に借入金によって不動産投資した場合は空室が発生することによって毎月の返済が賃料収入では賄うことができず、自己資金を持ち出さなければいけない事態も発生します。このような空室リスクを回避するために、月々、空室があろうとなかろうと、定められた一定の家賃を保証する家賃保証サービスを提供する不動産管理会社が増えています。家賃保証の仕組みは以下のとおりです。

家賃保証(サブリース)サービス
貸し主家賃借契約 ←←←←←→→→→家賃保証会社家賃借契約(転貸) ←←←←←→→→→入居者
←←←←←←←←←
家賃(100〜90)
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家賃(100)

家賃保証サービスは上記のように貸主と家賃保証会社とのあいだで、相場賃料の80%〜90%を保証賃料として賃貸借契約を締結します。家賃保証会社は貸主から借りた物件を入居者に相場の賃料で転貸(又貸し)します。家賃保証会社は入居者から受領する賃料と貸主へ支払う賃料の差額を報酬として得ることになります。逆に入居者が退居して家賃保証会社に賃料が入らない場合でも、貸主へは約束した賃料は支払わなければなりません。このようなことから貸主にとってみれば、相場の賃料より安く家賃保証会社に貸すことになりますが、入退居手続きの煩わしさと空室や滞納のリスクから解放されることになります。総務省の住宅の統計データでは、既に住居の数が総世帯数をうわまわり、空き家率がすべての都道府県において10%を超えています。当然、地域ごとに格差はあるものの10%程度の空室はやむをえない環境になってきているともいえるでしょう。このようなことからも家賃保証サービスの利用は、有効な空室・滞納リスク回避の手段となってきています。家賃保証サービスは賃貸住宅を主としたサービスですが、最近では賃貸事務所の家賃保証をする会社も出てきています。現在では多くの家賃保証会社があり、会社の規模、管理戸数、保証される賃料、サービスも各社まちまちですので、パートナー選びが重要になってきます。空室になった場合の家賃を保証する家賃保証サービスのほかに、一度、入居した借主の賃料の滞納を保証するサービスもあります。不動産管理会社が賃料を集金し、借主の賃料が滞っている、いないにかかわらず、定められた賃料を定められた日に立替払いするというサービスです。また、信販会社に保証料を支払うことによって、信販会社が借主の滞納賃料を一定期間保証するというサービスもあります。信販会社を活用する場合、信販会社が入居者の家賃支払い債務を連帯保証(立替払い)することが一般的です。この場合、入居者が保証料を支払い、信販会社と契約するしくみになります。

滞納保証サービス
貸し主一括して立替え払い ←←←←←←滞納保証会社家賃集金 ←←←←←←入居者
←←←←←←賃貸借契約

信販会社による滞納保証サービスを活用した場合は、滞納保証会社の所に信販会社が入り、信販会社と入居者との保証契約となり、立替え払いを信販会社が貸し主に支払います。

 

前述した家賃保証サービスや滞納保証サービスは不動産管理会社のサービスメニューの一つとして位置づけられていて、サービスの内容によって不動産管理会社に支払う手数料が異なります。家賃保証サービスに比べ、滞納保証サービスは、空室のリスクを負わないぶん、不動産管理会社へ支払う報酬は少なくなります。このように家賃保証や滞納保証サービスを利用する場合、不動産管理会社に支払う手数料が発生する為、利回りという観点で考えると、当然、利回りは低下します。したがってプロにリスクをとってもらい安定経営をとるか、自分でリスクをとって少しでも高利回りを狙うかの判断が重要なポイントとなります。

中途解約リスクを回避する(定期借家契約の活用)

通常は2年ないし3年の契約期間を定めて、賃貸借契約を締結しますが、契約期間中であったとしても、通常は、借主からの中途解約条項が入っています。したがって借主を確保して契約を締結しても中途解約される恐れがあるため契約期間内は賃料が確保されたとは言えないのが現状です。借主から中途解約された場合、すみやかに次の借主が決まらなければ収入が途絶えてしまいます。また、新たな借主が見つかったとしても従来どおりの賃料をいただけるかどうかも不明です。

 

平成12年3月1日に施行された「定期借家」制度を上手に活用することにより、借主による中途解約や契約途中での賃料の減額請求などを排除することが可能となりました。「定期借家」制度とは「貸主と借主が対等な立場で契約期間や家賃等を定められる自由な賃貸借契約制度」です。この制度ができる前は「借主=弱者」という概念の下に法制度が作られていましたので、たとえば、借主による中途解約はいつでも認められるものの、逆に貸主からの契約解除は事実上認められていません。貸主にとっては、契約期間中は賃料を支払って借りてほしいのに、借主の都合によっていつでも中途解約されるリスクが伴います。そして、貸主からの事情による解約には多額の立退き料を支払わないと明け渡しに応じてもらえないという法制度でした。 この「定期借家」制度ができたことによって、貸主と借主の立場が対等になり、自由な契約ができるようになったと言えるでしょう。定期借家契約の主な特徴は以下のとおりです。

 

*定期借家の要件を満たさなかった場合は通常の借家契約となります。

定期借家制度の主な特徴と要件
  • 契約の更新がなく、期間の満了により契約が終了することを契約書に明記する。
  • 契約締結前に「更新がない旨」を書面によって借主に説明すること。
  • 期間満了の1年前から6ヶ月前までに借主に通知すること。
  • 借主の中途解約については、居住用に限り、200m²未満の床面積のものについて、転勤、療養、介護などやむをえない事情がある場合のみ認める。200m²以上の床面積のものは特約がなければ中途解約できない。
  • 居住用に限っては既存契約しているものから、貸主、借主が合意したとしても定期借家契約に切り替えることができない。

このように「定期借家」制度の第一の特徴としては更新という概念が一切ないということがあげられます。期間満了と同時に契約は終了し、当事者が合意した場合は「再契約」をするということになっています。これだけに着目すると借主の立場が不安定のように感じるかもしれませんが、貸主は賃料収入を得ることが目的であり、契約を終了させる事が目的ではありません。したがって優良な借主には長く借りていただき、逆に、近隣に迷惑をかけたり、賃料の支払いの悪い借主には契約終了と同時に出て行っていただきたいという機動的な戦略がとれることになります。結果的に優良な借主を確保し、安定経営につなげることが可能となるのです。また、居住用以外は原則、借主からの中途解約は不可となっています。したがって事務所や店舗を賃貸する場合には、定期借家契約を締結することによって、中途解約リスクを回避することが可能となります。更に、契約期間中は賃料を変更しない旨の契約も当事者の合意で可能となりますので、定期借家制度を上手に活用することによって安定した賃貸経営戦略を組み立てる事が可能となります。

 

管理形態と契約形態を少し工夫することによってリスクが軽減されるのです。不動産投資にはプロのアドバイスが欠かせませんが、投資する本人がこのようなリスクの軽減方法を頭の片隅に入れておくこと自体が本当の意味でのリスク回避につながる事になるのです。

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